不服と言って、これ以上の不服な扱いはない。
ランピーはそう思いながらも、珍しく楽しげな雰囲気を隠そうともしないモールに、何も言えないでいた。
ちょっとしたお遊びは問題ない、楽しくて気持ちよければそれでいい。モールが積極的なら、問題なんてあるはずがない。けれど、行動を著しく制限されるような遊びは、ランピーの望むところではなかった。それなのに今ランピーは、椅子に拘束されている。
一人掛けのソファ、身長があっても細身のランピーならすっぽり座れる赤茶色の皮。合皮か本皮かはどうでもいい、兎に角そんなどっしりとしたソファの優雅な湾曲を描く背もたれ側の足に、ランピーの腕が固定されている。ぴんと張るように調節された鎖のついた、黒い皮の拘束具で。何故こんなものをモールが持っているのかが謎。
「…モール、これ」
「駄目、取っては駄目。切っても駄目」
嫌だなぁ…言おうとするたびに、毎回同じ事を言われる。
「ランピーならば、これは拘束ではない、固定」
それは確かに、別に苦痛に思うほどの拘束ではない。切ろうと思えば切る事が出来るし、ソファの足を折る事だって実際のところは可能だった。ただの固定、ただしソファはモールのお気に入り。
「…もういい、好きにして」
ソファを壊してしまっても、モールは怒らないだろう。けれど、悲しむかもしれない。そう思うと動くに動けない精神的拘束に、ランピーはため息をついた。
やる事は一緒、ならば遊び心を加えたいところ。そんなくだらない心のゆとりを、モールに教え込んだのはランピーだ。









たっぷりと精子の入った睾丸に、モールが嬉しげに舌を這わせる。何かというと触られるので、ランピーもこれは許容範囲内。
「ほぼ毎日出しているのに、すぐこんなに…」
「すみません、この年でまだサルなんで」
一応謝るけれど、モールはどろどろにされて喜ぶような類のアブノーマル、問題にはならない。ストイックな外見とのギャップに、毎回惚れ直すくらいには。
ぷにぷにと突かれて、それだけで感じる排泄感に眉を潜める。普段ならもう好き勝手に始めている頃なのに、固定された腕が使えないだけで、随分と勝手が違うもの。
「モール、遊ばないで。椅子にだって、座られる権利はあるんだよ」
ほんの少し、声が苛立ってしまったからだろうか。まるで悪戯のように性器に舌を這わせていたモールが、宥めるように顔を近づけてきた。薄らと霧のかかる朝焼けの青紫、神秘的なその色を見せたのは故意だろう。
「そっちに顔はありませんよ」
故意だとわかっているのに。変な方向に顔を伸ばして、一瞬首を傾げるものだから。ランピーは笑いながら、モールの横髪に噛み付く。犬みたいだけれど、手が使えないから仕方がない。
「モールは手が使えるんだから、ちゃんと探って…いやでも目は勘弁!!」
代わりに促すけれど、ふむと頷いて凄い速さで伸びてきた手に、今度は齧りつく事になる。なんて戯れ、全然先に進まない。中途半端に刺激された性器が、いまだに萎えない方が不思議。
「…不便」
「え、そんな事始める前からわかってたよ。バカな俺でもわかってたよ」
上機嫌から一転、不思議そうな顔のモールにまた笑わされたって、萎える気配がない。でもそれ以上育つ兆しはないわけだから。
もう一度、かしりと指に噛み付いて、指の間に舌を這わせる。それだけで、くふりと笑みを洩らし頬を摺り寄せてくるモールに、ランピーは存在意義を主張した。
即ち、椅子である事を。
「ちゃんと座ってモール、お行儀の悪い座り方は駄目だよ」





椅子とは即ち、背凭れを背に、きちんとお行儀良く座るもの。モールはいつも、綺麗に背を伸ばして足を揃え、お上品に座っている。
足を揃える、は多分無理。お上品も無理だけれど、背凭れに背を預けるくらいなら出来るはず。
「ん、んッ!」
「酷い酷い、モール酷い!見えないよ!扱いてくれるのは気持ちいいけど見えないよ!!」
それなのにモールは、何故か反抗期。向かい合ったままでは、自身でアナルを解すその様は見えない。一緒にペニスは扱いてくれるけれど、折角の絶景を見る事が出来ないなんてとても不服。
「んぁ…ふふ」
モールはそんなランピーが面白いのだろう。あえて腰を浮かせて、絶対に見えない位置で。くちゅりと音はするけれど、太股まで垂れたローションを、時たま腿に擦り付けてくるけれど。それで満足出来るほど、モールほどには妄想力が発達していない。
「オットマン持ってきて!右!向かって右にあるから!後ろ向きで挿入しないと俺、引き千切るからね」
「…あぅ、わがまま」
「我儘じゃないよ!そもそもの発端はモールの我儘だよ!」
拘束されていない足をばたばたさせると、上に乗っているモールの身体が跳ねる。そのせいで、奥まで指を突き入れてしまったのか。戦慄いて指を抜いたモールはそれでも笑う。笑いながら今度こそ、意志を汲み取るかのように引き寄せられたオットマン。
モールを乗せたまま足を上げたランピーは、大きく息を吸う。
やんわり扱かれ続けたペニスは上々、涎を垂らして直立している。ゆっくりと背を向けたモールは、ランピーの膝を掴んで腰を上げた。
ああもう、押さえ込んで無理矢理腰を落してやりたい
そんな欲求はあるけれど。
「見える?」
クツクツ笑いながら、それでもふわりふわりと尻を振る、いやらしいモールのためになら我慢も出来る。…うんいや、やっぱり出来ない。
「モールの尻が綺麗でね、今すぐにでも齧りつきたくなるのは知ってる、凄く知ってる。モールのためだけの椅子はでも、そろそろ欲求不満です」





ずぶずぶと、簡単に解されただけなのに、あっという間にペニスを飲み込んでいくアナル。亀頭をすんなり咥え込み、そこで一呼吸置くようにきゅうと閉めて。それから、一気に。
「んあぁ!ん…ッるぅ、みえる?みた?わたしの中、入っていくの」
ぐぽりと根元まで、入り込む様をランピーは確り見ていたけれど。漸く訪れた本格的な性交に、固定された腕が本当にストレスだったので。
「んん、よくわかんない。もう一回して」
意地悪を言う。誰だってわかるような嘘、モールはまだ笑っている。
ゆっくりとまた抜けて行くペニスは、ローションでぬれぬれと光って少しグロテスク。それでも亀頭が半分顔を覗かせた辺りまで行くと、寂しげに震えるものだから。
「ゃうッ…も、ちゃんとみて」
急かすように小刻みに、腰を振ってしまって怒られて。けれどまたぐぽりと、今度は先ほどよりゆっくり咥え込んでいくアナルがペニスに付着したローションを絡め取り、滴り落ちて行く様を堪能する。
「凄い、ミィのアナル凄いいやらしい。もっとして、もっともっと」
また根元まで、入り込んだ証拠にパシリと鳴った尻。促されるまま少しずつ、速度を上げて繰り返す挿入の間にも、綺麗なそれがローションでテラテラと光る様子がよく見えた。
とても安っぽい、けれどセックスをしているのだから、それは当然。俗物に塗れて一心に、ただ一心に快楽を求めているのだから。
「ぁ、ぁ、あっん!すぐき、ちゃ…ッ」
モールは随分と興奮していた。自ら動いて、純粋に自分のためだけに快感を得る。その行動が、彼のプライドに反しているから。
掴んだままの膝に爪が立つ、肉壁がペニスに絡み、それだけでも痙攣を起こす。
「ミィ、ミィこっちおいで。イく姿見せて」
こうなると、挿入だけでは物足りない。驚く程がちりとペニスを咥えこむ様子は、見ていてとても楽しいものだったけれど。イくならイくときの様子だって見たい。
椅子だけに、とても無責任に不動のまま、促したランピーの胸板に、モールは大人しく背中を預けた。指示されるまま、オットマンではなくソファに両足を乗せ、肘掛を確り掴んで。
「ひぅッ!あ、あ、あぁ!!かんじ、ん!るぅの、わかるッ」
足を上げた事で、更に締りがよくなった。ふるふると続く痙攣が、今ではダイレクトに響く。腕の力だけで挿入を繰り返すから、毎回引き抜かれそうな錯覚を覚えるほど。
「っだめ、俺ももう出る!」
ほとんど腰を動かさないで、射精まで導かれるなんて滅多にない体験。ランピーはもう少し堪能したかったけれど、モールの首筋を流れる汗がとても官能的で。つい舌で舐め取って、そしたらもう駄目。
「は…ッんんん!!」
どくりと、吐き出した精子を磨り込むように、挿入を繰り返したモールもまた、精を吐き出していた。ぶるぶると震える腕だけで、それでも満遍なく磨り込む姿がとてもいい。貪欲で、とても可愛い。








ピキンと鳴った音に、モールはうっすらとまた目を開ける。
拘束ではなく、固定
最初に宣言した通り、怪力のランピーを細い鎖一本で、何時までも固定できるものではないとわかっていた。我儘で欲しがりなランピーが、あればあるだけ欲しがる彼が。一回だけとはいえ付き合ってくれただけでも十分。
「良い椅子だったでしょ?俺。凄く気持ちよくなったね」
カタリと何かが投げ出された音、きっと手首を固定していた皮の拘束具。大きな手が、ぬれぬれと濡れる腹を擦り、ゆっくりと胸に精子を擦り付けられ、乳首。
「んッ」
「ここ、上から見てるだけなのに、すぐ尖ってきて。触りたかったんだ」
ねちょりと感じる粘り気は精子で、丹念に擦り付けられて。
「椅子はお終い、今度はミィの恋人で、俺がミィを犯すの。いいね」
耳朶を舐られながら機嫌よく、囁かれた言葉。頷くしかないし、それ以外の選択など、モールは選ぶはずもない。



END




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